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クリニック開業における場所の決め方や注意点を解説!立地や周辺環境から最適な土地を選びましょう

クリニックの開業において、場所と物件の選択は事業の成否を左右する最も重要な意思決定のひとつです。「良い立地に開業できれば集患は後からついてくる」という言葉があるほど、立地は集患力に直結します。

しかし同時に、賃料や内装工事費というランニングコスト・初期費用のバランスを見誤ると、患者さんが来ても経営が成り立たないという本末転倒な事態に陥るリスクもあります。

本コラムでは、クリニック開業における場所の決め方・物件の選び方・注意点・最適な立地の見極め方を整理します。物件選定を前に、実践的な判断基準として活用してください。

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クリニック開業における場所の決め方

場所を決める際には、感覚的な「なんとなく良さそう」ではなく、複数の客観的な基準で評価することが重要です。以下の5つの視点から確認しましょう。

  • ランニングコストの上限が地域の相場に適しているか
  • 近隣に競合となるクリニックが多くないか
  • ターゲットとする患者層が多く居住・通勤しているエリアか
  • 将来の人口動態と地域の発展見通しが良好か
  • 医療モールや複合施設との相乗効果が期待できるか

ランニングコストの上限が地域の相場に適しているか

クリニック開業において物件を選ぶ前に、まず**「月の賃料としていくらまで負担できるか」という上限を明確に設定すること**が重要です。一般的にクリニック経営では、月の売上に対して賃料の割合が10〜15%以内に収まることが目安とされています。この上限を超える賃料の物件を選んでしまうと、患者さんが一定数来ていても収益が残らないという状況が生まれます。

エリアの賃料相場は立地条件によって大きく異なります。駅前・繁華街・住宅街という場所の違いだけでなく、ビルのフロア・築年数・物件の広さという条件によっても賃料は変わります。想定する診療科・患者数・診療単価をもとに月次収益の見通しを立て、その収益から賃料の上限を逆算するというアプローチが、立地選定における正しい順序です。「この場所が気に入った」という感情的な判断より、収益計画から導き出された賃料上限を最初の選定基準として位置づけることが、開業後の経営安定につながります。

近隣に競合となるクリニックが多くないか

開業を検討しているエリアに同じ診療科のクリニックが複数存在する場合、既存クリニックとの患者の取り合いが発生し、開業当初から集患に苦しむリスクがあります。競合調査は物件の契約前に必ず実施すべき最重要の市場調査のひとつです。

調査する際には、徒歩圏・自転車圏・車の移動圏というエリアの広さを診療科の特性に合わせて設定することが重要です。小児科・歯科・内科などは比較的狭い商圏(徒歩・自転車圏)での集患が中心ですが、専門性の高い診療科は広い商圏からの集患が期待できます。また競合の数だけでなく、各クリニックの評判・混雑状況・患者さんの年代層という質的な情報も合わせて調査することで、自院が参入する余地があるかをより正確に判断できます。競合が多い場合でも、差別化できる専門性や診療時間帯の工夫によって共存できるケースもあります。競合調査の結果を踏まえて「自院はどの患者層・ニーズに特化するか」という差別化戦略を立てることで、競合が多いエリアでも独自のポジションを確立できる可能性があります。

ターゲットとする患者層が多く居住・通勤しているエリアか

開業する診療科によって、集患に最も有利なエリアの特性は異なります。小児科・産婦人科は子育て世代の人口が多いエリア・整形外科や内科は高齢者人口が多いエリア・美容皮膚科や精神科は若い世代が多く通勤するエリアというように、診療科とターゲット患者層・エリアの人口構成を照合することが、集患力のある立地を選ぶための基本的な分析です。

市区町村の人口統計・年齢別人口データ・昼間人口と夜間人口の比率という公開データを活用することで、エリアの特性を客観的に把握できます。また近隣のスーパー・薬局・公共施設の混雑状況から、実際の生活動線と人の流れを現地観察することも有効な情報収集です。ターゲット患者層とエリアの特性が一致しているかどうかは、開業後の集患速度に大きな影響を与えます。複数の候補エリアについてターゲット患者層の人口データを比較し、最も適合度が高いエリアを優先的に検討することが、データにもとづいた立地選定の基本的なプロセスです。

将来の人口動態と地域の発展見通しが良好か

クリニックは開業してから10〜20年以上にわたる長期経営を前提とした事業です。開業時点の人口が多くても、少子高齢化・人口流出という将来の人口動態が悪化しているエリアでは、10年後に患者数が激減するリスクがあります。

市区町村の将来人口推計データ・新しいマンションや宅地開発の状況・大型施設の誘致計画・行政の都市計画という情報を調査することで、エリアの将来見通しを評価できます。特に新興住宅地や再開発エリアは現時点の人口は少なくても将来的な成長が見込まれるため、先行して開業することで地域に根付く機会になります。逆に人口減少が顕著な地域では、短期的な集患よりも長期的な経営持続性のリスクを重視した判断が必要です。開業から10年後・20年後の人口推計をエリア選定の判断基準として明示的に組み込むことで、短期的な集患環境と長期的な経営持続性の両面から立地を評価することができます。国立社会保障・人口問題研究所が公開する市区町村別の将来人口推計データを活用することで、各候補エリアの将来的な人口動態を数値として確認することができます。

医療モールや複合施設との相乗効果が期待できるか

複数の診療科が集まる医療モール・ドラッグストアや調剤薬局が併設された商業施設・高齢者施設に隣接したエリアという立地は、施設間の相互紹介・動線の共有・患者さんのワンストップ利便性という相乗効果が期待できます。

医療モール内に開業する場合は、自院の診療科と他の入居クリニックとの相互送客関係を事前に確認することが重要です。内科・整形外科・皮膚科という異なる診療科が揃うモールは、患者さんが一か所で複数の診療を受けられるという利便性から地域の認知を得やすいという強みがあります。ただし同じ診療科が複数入居している医療モールは、内部での競合が発生するリスクがあるため注意が必要です。医療モールへの入居を検討する場合は、モール全体の診療科構成・既存入居テナントとの相性・モール運営者との条件交渉という複数の要素を慎重に評価したうえで判断することが重要です。医療モールのコンセプトと自院の診療方針が一致しているかどうかも、長期的な共存関係を築くうえで重要な評価基準となります。

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クリニック開業における物件の選び方

場所が決まったら、次は物件そのものの評価が必要です。以下の5つの視点から物件を評価しましょう。

  • 居抜き物件を利用するかどうか
  • 物件の広さと間取りが診療計画に対応できるか
  • ビルの設備と法的な要件を満たせるか
  • 賃貸借契約の条件と更新・退去に関する規定を確認する
  • 物件オーナーとの関係と長期的な安定性を評価する

居抜き物件を利用するかどうか

前のクリニックが使用していた設備・内装をそのまま引き継ぐ居抜き物件は、内装工事費と設備費の大幅な削減・工期の短縮という大きなメリットがある一方で、前クリニックのイメージの引き継ぎ・設備の老朽化・ブランドコンセプトとの不一致というリスクも伴います。

居抜き物件を検討する際には、前クリニックの閉院理由の調査・設備の状態確認(医療機器メーカーと設備工事業者による現地調査)・前クリニックのSNSや口コミでの評判調査という3つの確認を契約前に必ず実施することが重要です。設備が使えそうに見えても老朽化が進んでいるケースや、前クリニックがネガティブな評判を持っているケースでは、居抜きのメリットが大きく損なわれます。居抜きの総コスト(物件費用+修繕費+ブランド対応費)とスクラッチ開業のコストを正確に比較したうえで判断することが重要です。「居抜きは安い」という先入観を持たずにトータルコストで比較することが、居抜き・スクラッチという選択の正しい判断を実現します。

物件の広さと間取りが診療計画に対応できるか

物件の広さと間取りは、想定する診療体制・患者数・スタッフ数・診療科の特性に合った設計が実現できるかを判断する最重要の評価基準のひとつです。開業後に「待合室が狭くて患者さんが座れない」「診察室が足りない」「スタッフルームが設けられない」という問題が発覚しても、後から物件の広さを変えることはできません。

必要な面積の計算には、診察室(1室あたり最低8〜10平方メートル以上が目安)・待合室(患者の最大同時待機人数×1人あたり面積)・処置室・受付・スタッフルーム・トイレ・収納という各スペースの必要面積を積み上げる方法が基本です。将来の診療科追加・患者数増加・スタッフ増員という成長を見越した余裕を持たせた面積設計が、長期的な経営拡大を可能にする物件選定の視点として重要です。物件の面積と間取りを評価する際は、内装設計の専門業者に「この物件でこの診療計画が実現できるか」を事前にシミュレーションしてもらうことが、契約後の後悔を防ぐ最も確実な方法です。

ビルの設備と法的な要件を満たせるか

クリニックの開業には、医療法・建築基準法・消防法・薬事法という複数の法規制への適合が必要です。ビルの電気容量・給排水設備・換気設備・防音性能・エレベーターの有無というインフラ条件が、自院の診療科の設備要件を満たせるかどうかを物件契約前に確認することが必須です。

特に医療機器の設置(レントゲン装置の場合の放射線遮蔽・重量機器の床荷重への対応)・医療ガスの供給配管・感染管理のための換気設備という要件は、ビルの構造によっては対応が不可能なケースがあります。これらの要件を確認しないまま物件を契約すると、設置予定の機器が設置できないという取り返しのつかない問題が発覚するリスクがあります。クリニックの内装設計実績がある専門業者を物件見学に同行させ、設備要件の充足可否を事前に確認することが、このリスクを防ぐ最善の方法です。ビルの管理会社から電気容量・給排水設備の仕様書を取り寄せて専門業者に確認してもらうことで、設備要件の充足可否を物件契約前に正確に把握することができます。

賃貸借契約の条件と更新・退去に関する規定を確認する

クリニックの開業に際して賃貸物件を契約する場合、契約期間・更新条件・賃料改定の条項・原状回復の範囲・解約予告期間・建物の建て替えや立退きに関する条項という契約内容を詳細に確認することが非常に重要です。

特に「定期借家契約」と「普通借家契約」の違いは、クリニック経営の安定性に大きく影響します。定期借家契約は期間満了時に契約が終了するため、クリニックが長期継続を前提とする事業である性質を考えると、普通借家契約の方が安定性は高いです。また内装工事を行う場合の「原状回復の範囲(医療機器の配管・電気工事も原状回復が必要か)」という条件が、退去時の費用に大きく影響します。契約書の内容は必ず弁護士に確認してもらうことが、後のトラブルを防ぐうえで重要です。賃貸借契約のレビューを弁護士に依頼することで、不利な条件や曖昧な規定を契約前に修正・明確化できます。弁護士費用を惜しんだ結果として後に大きなトラブルが生じるリスクは、医院継承の契約と同様に、クリニックの賃貸借契約においても共通して見られます。

物件オーナーとの関係と長期的な安定性を評価する

クリニック経営は長期にわたるため、物件オーナーとの関係が安定しているかどうかは、物件選定において見落とされやすいながら重要な評価基準のひとつです。オーナーの人柄・オーナー会社の財務状況・物件の管理状態という情報から、長期的な安定した賃貸関係が期待できるかを評価します。

内装工事・設備設置に関する承諾を柔軟に得られるオーナーかどうか・定期的なメンテナンスへの対応が適切かどうかという点は、実際に入居した後の日常的な運営に影響します。また建物が古い場合は、オーナーの建て替え計画・売却の意向という情報を可能な範囲で確認しておくことで、数年後に突然の立退き要求を受けるリスクへの備えができます。オーナーとの最初の交渉段階から誠実な対話を心がけ、長期的な信頼関係の構築を意識することが、安定した賃貸関係の基盤となります。賃料や条件の交渉においても、一方的な要求ではなく双方にとってメリットのある形を模索する姿勢が、良好なオーナーとの関係維持につながります。

クリニックの開業場所を選ぶ際の注意点

立地と物件の評価に加えて、開業場所の選定において特に注意が必要な点があります。以下の4つを確認しておきましょう。

  • 現地調査を複数の時間帯・曜日で実施する
  • 行政への届出と開設許可の要件を事前に確認する
  • 駐車場の確保と周辺の交通環境を評価する
  • 開業後の内装改修・増床の可能性を物件選定段階で把握する

現地調査を複数の時間帯・曜日で実施する

物件の内見は1回では不十分です。平日の朝・昼・夕方と週末という複数の時間帯・曜日で現地を訪問することで、人の流れ・交通量・周辺の騒音・日当たりという条件が時間帯によってどのように変わるかを正確に把握できます。

朝は通勤・通学の人の流れが多く活気があっても、昼間は人通りが少ないというエリアは、日中に診療が集中するクリニックの立地としては集患力が不安定になる可能性があります。逆に昼間は静かでも近隣の住民の生活動線として機能しているエリアは、クリニックにとっての集患環境として適していることがあります。複数回の現地調査で得た情報を数値化・記録し、物件間の比較を客観的に行うことが、感覚的な判断によるリスクを防ぐための実践的な方法です。現地調査チェックリストを事前に作成し、訪問のたびに同じ基準で評価することで、候補物件の比較が一貫した基準のもとで行えます。開業支援の専門家と一緒に現地調査を行うことで、経験に裏打ちされた視点から問題点や可能性を発見できる確率が大きく高まります。

行政への届出と開設許可の要件を事前に確認する

クリニックの開設には、都道府県への診療所開設届・保健所への届出という行政手続きが必要です。物件が診療所として使用できる用途地域かどうかという建築基準法上の確認と、保健所の事前相談が物件選定段階で必要です。

工業専用地域など一部の用途地域では診療所の開設が認められない場合があります。また医療機関の開設に際して保健所の立入検査・構造設備の確認という手続きが必要であり、保健所が求める構造設備の基準(診察室の広さ・換気・手洗い設備など)を物件が満たせるかを事前に確認することで、開設許可が下りないという事態を防ぐことができます。物件の契約前に保健所への事前相談を行うことが、開業準備を確実に進めるための重要なステップです。保健所への事前相談は多くの場合無料で行えるため、物件の候補が絞れた段階で保健所に持ち込み、診療所として使用可能かどうかの見解を事前に得ることが、開業準備を無駄なく進めるうえで重要な行動です。

駐車場の確保と周辺の交通環境を評価する

クリニックの患者層・診療科によっては、駐車場の有無が集患力に大きく影響します。特に高齢者が多い内科・整形外科・眼科・郊外エリアのクリニックでは、自動車でのアクセスを前提とした来院が多く、駐車場が確保できない物件は集患上の大きなハンデになります。

物件に付属する駐車スペースの台数・近隣の月極駐車場の賃料と確保の可能性・物件周辺の路上駐車の可否という条件を確認することが必要です。また物件への車でのアクセスのしやすさ(幹線道路からの進入のしやすさ・信号の有無・一方通行の規制)も、患者さんの来院ハードルを左右する重要な評価基準です。駐車台数が確保できない物件については、近隣の月極駐車場を複数台分契約する形で補完できるかどうかを事前に確認することが、現実的な対策として有効です。患者さんへの「駐車場あり(徒歩○分)」という案内が可能かどうかも、駐車場の補完策を評価する際の重要な観点です。駐車場の確保は開業準備において後回しにされやすい項目ですが、患者さんの来院体験に直結するため、物件契約と同時並行で確認を進めることが重要です。

開業後の内装改修・増床の可能性を物件選定段階で把握する

クリニックの規模・診療機能は開業後に拡大していくことが多いです。**「今の計画では問題ない広さでも、3〜5年後に診療科を追加したい・スタッフを増やしたい・待合室を広げたいという需要が生じた際に、物件の条件がそれを妨げないか」**という長期的な視点での評価も重要です。

同じビル内の隣接テナントが空いた場合に増床できる可能性があるか・オーナーが内装改修に柔軟に対応してくれるか・ビル全体の将来的な用途変更や建て替え計画がないかという情報を、物件選定の段階で確認・把握しておくことで、開業後の成長に対応できる物件を選ぶことができます。開業から3〜5年後の規模拡大シナリオを具体的に描いたうえで、現在検討している物件がそのシナリオに対応できるかを評価することが、長期視点での物件選定の実践的な方法です。現時点の診療計画だけで物件を評価すると、成長の過程で物件が足かせになるリスクがあります。将来のシナリオを物件評価に組み込む習慣が、後悔のない物件選定につながります。

Palettaの施工事例

“選ばれる空間”には理由があります

人が無意識に安心する、
設計の考え方をお伝えします。

クリニックやオフィスの内装デザインでお悩みの方へ。
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この条件ならチャンス!最適な立地の見極め方

複数の候補物件の中から「これは良い立地だ」と判断できる条件があります。以下の4つが揃っている場合は、積極的に検討すべき物件といえます。

  • 駅やバス停、駐車場から近い位置にある
  • 同一診療科の競合が少なく需要が満たされていない
  • ターゲット患者層の生活動線上に位置している
  • 近隣に大型マンション・開発計画・医療モールがある

駅やバス停、駐車場から近い位置にある

患者さんにとってのアクセスのしやすさは、クリニック選びの重要な判断基準のひとつです。駅から徒歩5分以内・バス停から近い・駐車場が確保されているという物件は、来院のハードルが低く集患力を発揮しやすい立地の基本条件を満たしています。

駅近の物件は賃料が高くなりがちですが、集患力と収益性のトレードオフを診療科・患者層・想定患者数をもとに計算することで、賃料が高くても収益が成立するかを判断できます。また駅からの導線上に視認性のある看板が設置できる物件は、認知度の向上という点でも有利です。電車・バス・車という複数の交通手段でアクセスできる物件は、より幅広い患者層を取り込める立地として高い評価ができます。アクセスのしやすさは患者さんが「また来よう」という継続受診の動機にも影響するため、来院しやすい立地への投資は定期通院という安定収益の基盤をつくる長期的な経営価値を持ちます。賃料が高くても来院しやすい立地を選ぶことと、賃料が安くても来院しにくい立地を選ぶことの長期的な収益差を試算することで、アクセス立地への投資の合理性を数値で評価できます。

同一診療科の競合が少なく需要が満たされていない

最も集患しやすい立地条件のひとつが、「この地域には同じ診療科のクリニックが少なく、受診ニーズが満たされていない」という需給のギャップが存在するエリアです。競合が少ないということは、潜在的な患者さんが既存のクリニックに流れる前に自院に来院する可能性が高いことを意味します。

需給のギャップを確認する方法として、エリア内の人口に対するクリニック数の比較・既存クリニックの予約待ち状況・地域住民へのニーズ確認という手段があります。また既存クリニックの院長が高齢で近いうちに廃院が見込まれるというエリアも、需要が引き継がれやすいという観点でチャンスになります。競合が少ない立地は、開業当初から患者数が安定しやすく、経営の早期安定という観点で非常に有利な条件です。競合が少ないエリアを見つけた場合は、競合が増加する前に早期に参入することが、地域のかかりつけ医としてのポジションを確立するうえで重要な戦略的判断となります。

ターゲット患者層の生活動線上に位置している

「人が多いエリア」と「ターゲット患者が多いエリア」は必ずしも一致しません。クリニックにとっての最良の立地は、自院のターゲット患者層が日常的に通る生活動線上にある物件です。スーパーマーケット・保育施設・学校・公共交通機関という生活インフラの近くに位置する物件は、ターゲット患者層の生活動線と重なりやすいという特性があります。

子育て世代をターゲットにする小児科であれば、保育園・学校・子育て支援センターの近く・高齢者が主な患者層の内科であれば、高齢者が集まるコミュニティセンター・商店街・公共交通機関のターミナルの近くという立地が生活動線上に位置する物件の典型例です。生活動線を把握するためには、現地での観察と地域の統計データの組み合わせが最も正確な方法です。現地観察では複数の時間帯・曜日に訪問し、どんな年齢層の人がどの方向に移動しているかを記録することで、ターゲット患者層の生活動線を具体的に把握することができます。

近隣に大型マンション・開発計画・医療モールがある

開業時点では人口が少なくても、近隣に大型マンションの建設計画・大規模な宅地開発・医療モールの開業計画があるエリアは、将来的な患者数の大幅な増加が期待できる成長立地として評価できます。

大型マンションが完成すると数百から数千人規模の新規住民が流入します。この住民が「近くに信頼できるかかりつけ医を探している」という状態で自院が先行して開業していれば、地域のかかりつけ医として定着できる大きなチャンスが生まれます。行政の都市計画・不動産の開発動向・医療モールの入居募集という情報をアンテナを高くして収集することで、成長立地を競合より先に発見するという開業戦略が実現します。自治体の都市計画審議会の資料・不動産業者からの情報・地域の医師会経由の情報という複数のチャネルを継続的にモニタリングすることで、成長立地の早期発見が可能になります。開業の1〜2年前から情報収集を開始し、成長エリアの候補をリストアップしながら適切なタイミングで物件を選定するという計画的なアプローチが、最適な立地での開業を実現する確実な方法です。

まとめ

クリニックの開業場所の選定は、場所の経済的な妥当性・競合状況・患者層との適合・将来の人口動態・物件の機能性と法的要件という複数の基準を総合的に評価することで、後悔のない判断ができます。物件の選び方においては居抜きかスクラッチかの判断・面積と間取りの適合性・ビルの設備要件・契約条件・オーナーとの関係という5つの視点が重要です。

最適な立地の条件として、駅・バス停・駐車場からのアクセスの良さ・競合が少ない需給ギャップの存在・ターゲット患者層の生活動線上への位置・近隣の開発計画による将来の成長性という4つが揃っている物件は、積極的に検討すべきチャンスの立地です。物件選定は開業準備の中でも最も取り返しのつかない決断であるため、専門家の知見を活用しながら十分な時間をかけて判断することが、開業を成功に導く最重要の準備です。

監修
株式会社Paletta 営業部

株式会社Paletta 営業部は、医療・オフィス・福祉施設などの内装設計・施工を手がける専門チームです。「パレット+α」の理念のもと、多様な想いを調和させた空間づくりを推進。一級建築士や一級建築施工管理技士などの有資格者と連携し、企画から施工までワンストップで支援しています。

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