2026年9月、医療業界の話題は「患者のための空間」から一歩踏み込み、医師・スタッフが無理なく働き続けられる環境づくりへとシフトしています。
時事メディカルでのケアワーク両立の特集、厚労省の医師働き方改革検討会など。
これらはすべて、クリニックという「職場」の空間設計に新たな問いを投げかけています。私たちクリニック内装設計・施工の専門家として、今月の動きを設計の視点で読み解きます。
スタッフが辞めない職場は、空間設計から始まる
9月25日、時事メディカルは大阪医科薬科大学の河野恵美子助教らを招き、家事・育児・介護などの「ケアワーク」と仕事の両立をテーマにした鼎談を掲載。
固定的な性別役割分担がキャリア継続に与える影響に触れながら、「誰もが働き続けられる社会」の必要性を訴えています。
医療現場は特に離職リスクが高い職種が集まる場であり、この議論はクリニック運営に直結します。
採用コストは年々上昇しています。スタッフが「ここで長く働きたい」と感じる空間——更衣室・ロッカー・休憩スペース・授乳コーナーを「余った場所」として後回しにせず、設計初期から必要面積を確保することが、最も費用対効果の高い人材投資です。
「制度が変わる前に、空間を変える」先手の提案
厚生労働省は9月10日、「令和8年度医師の働き方改革の推進等に関する検討会」第2回会合を開催。
勤務環境改善を支援する「勤改センター」の在り方や労働時間短縮に関する議論が続いており、院内の働き方を見直す機運は制度面でも着実に高まっています。
労働時間の短縮と空間設計は表裏一体です。処置室に隣接した物品収納、受付から診察・処置・会計までのスタッフ動線の最短化、患者動線との交錯解消——こうした「動線の無駄を省く設計」が、スタッフ1日あたりの移動距離と疲労を大幅に減らします。制度論議が具体化する前に、空間から先手を打つことができます。
動線を図面に描けば、改善点は自ずと見えてくる
患者動線の設計は今や標準仕様となりましたが、スタッフ動線の最適化はまだ多くのクリニックで手つかずのままです。
「受付→診察室」「診察室→処置室」「物品補充→各診療室」「出勤→更衣→休憩」——これらのルートを図面上に線で描くだけで、無駄な往復や危険な交差が一目で可視化されます。
設計ヒアリングに「スタッフが1日に何度・どこを往復するか」を加えることは、院長への新しい提案価値になります。見栄えや患者体験だけでなく、「そこで働く人の時間と体力」まで設計対象にするクリニックが、採用力でも口コミ評価でも選ばれ続ける時代が来ています。
9月のトピックスが示す方向性は明確です。
「クリニックは患者のためだけでなく、スタッフが働き続けられる場所でなければならない」
この視点を設計に持ち込めるかどうかが、これからの設計施工会社の差別化軸になります。
設計前のヒアリングに「スタッフが1日に何度・どこを往復するか」を加えるところから始めましょう。
スタッフファーストなクリニックデザインなら、ぜひ弊社にご相談ください。